1. 補聴器と集音器の特徴や違いは?
補聴器と集音器、どちらも見た目は似ているものが多く、耳に入れることも、音を大きくする器械という意味でも、なんだか似ていますよね。
広告や通販でも、その製品が補聴器なのか集音器なのか、分かりづらいことが多くあります。
しかし、この2つは大きく違います。違いを理解して、自分のニーズに合ったものを買う様にしましょう。
具体的な補聴器と集音器の違いには、主に以下の5つが挙げられます。
- 厚生労働省による認可の有無
- 聞こえの調節方法
- 主な販売方法
- 価格相場
- アフターケアの有無
補聴器と集音器の特徴を説明しながら、上記の相違点について解説します。
1.1 厚生労働省による認可の有無
そもそも補聴器と集音器は商品カテゴリーが異なり、補聴器は「医療機器」、集音器は「オーディオ機器」に分類されます。
医療機器である補聴器は、薬機法によって効果や安全性に関する厳しい基準が定められており、厚生労働省からその基準をクリアしていると認可されなければ補聴器として認められません。
一方、オーディオ機器である集音器は、製造販売にあたり厚生労働省の認可を受ける必要はありません。
つまり補聴器は厚生労働省からの認可を受けている製品であり、集音器は認可を受けていない製品となります。
1.2 聞こえの調節方法
補聴器と集音器はどちらも使用するにあたって音量操作が必要ですが、この調節方法に違いがあります。
補聴器は、難聴者向けの製品、聴力をサポートすることを目的としているため、人が聞きたいと思う音を大きくし、それ以外の雑音などは大きくしないようにする機能が搭載されており、一人ひとりの聞こえの状態に合わせて細かく調整する(フィッティング)ことが必要です。「人の言葉を聞くこと」を大きな目的にして作られているため、使用者の難聴の種類や使用環境に合わせて、聞こえづらい音の周波数を調整することができます。
なお、フィッティングを適切におこなうには専門的な知識が必要なため、補聴器の専門家(認定補聴器技能者など)に相談しましょう。
集音器は難聴者向けの製品でなく、一般的に細かい調整機能が搭載されていないため、耳に入る音の周波数を一律に増幅します。音を一律に大きくすると、聞かなくていい音(雑音)も大きくなってしまい、長い時間使えないことがあります。もともと聞こえている音のボリュームも上がるため、結局聞こえづらい音が埋もれてしまって改善されないというケースが発生しやすいです。
操作自体は簡単なため、自分で気軽に音を大きくすることができます。
1.3 主な販売方法
補聴器と集音器は商品カテゴリーや調整方法が違うことから、それぞれの販売方法も異なります。
補聴器は医療機器のため、販売するにあたって保健所から販売届け出を得る必要があります。補聴器を取り扱う店舗は専門店やメガネ店が多く、購入時には駐在する専門家がその人の聞こえ方に合わせて音を調整(フィッティング)することが一般的です。
集音器はオーディオ機器のため、販売するにあたって特別な届け出は必要ありません。専門的な調整も不要であり、家電量販店や通販など身近なところで販売されています。
1.4 価格相場
補聴器と集音器は搭載機能が異なることから、価格相場にも大きな違いがみられます。
補聴器は複数の高性能な部品から構成されており、費用相場はおおよそ10万〜30万円(一台あたり)ほどです。ただし、販売価格は搭載機能の量や質などによって差が生じやすいため、高いものは50万円以上しますが、安いものは10万円以下から購入することができます。
集音器は、補聴器のように高性能な機能は一般的に搭載されておらず、費用相場はおおよそ1万〜3万円(一台あたり)ほどです。補聴器と比べると販売価格は全体的に低く、なかには10万円程度する機器もありますが、多くの場合は数万円で購入することができます。
下記記事では、補聴器の値段や販売場所ごとの価格相場などについて詳しくまとめているのでぜひ併せてご覧ください。
>> 補聴器の値段は安い?購入価格の相場や補助金制度を紹介
1.5 アフターケアの有無
補聴器と集音器の違いには、製品購入後のアフターケアの有無も挙げられます。
店舗によってサービスの度合いは異なりますが、補聴器の場合、一般的にアフターサービスとして購入後も定期的な調整やメンテナンスを実施します。
補聴器は、購入時に、その人の聞こえ方に合わせて音を調整する(フィッティング)ように、使用開始後も聞こえの状態や生活環境の変化に応じて細かな調整が必要です。また、耳あかや湿気などによる故障を避けるため、定期的なクリーニングや点検を依頼する事が推奨されます。
集音器は、自分で音の大きさの調整をすることができるので、定期的な調整やメンテナンスといったアフターサービスは一般的にありません。店舗によっては、修理対応を実施しているところもあります。
2. 補聴器のメリット・デメリット
補聴器と集音器の特徴の違いをふまえて、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。
補聴器の主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
| メリット |
- 聞こえづらい音をピンポイントに調整できる
- 国から認められた医療機器であり安全性が高い
- 聞こえの状態の変化に応じて適切に調整してもらえる
- 公的支援を受けられる
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| デメリット |
- 価格相場が高い
- ある程度の範囲でしか自分で調整ができない
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補聴器は一人ひとりに合わせて音の状態を細かく調整できるため、比較的聞こえづらさが改善されやすいです。また、購入時だけでなく購入後も適正な調整やメンテナンスを受けられるため聞こえの状態を維持しやすくなります。
一方で、価格相場の高さや専門家によって、その人の聞こえ方に合わせて音を調整(フィッティング)する必要があることから、費用が比較的高いことがデメリットとして挙げられます。ただし、補聴器は購入にあたって公的支援を受けられるため、経済的な負担を減らすことができます。
3. 集音器のメリット・デメリット
集音器の主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
| メリット |
- 価格相場が安い
- 気軽に購入できる
- ボリューム操作が簡単で自分でできる
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| デメリット |
- 比較的性能が低い
- 耳が負担やダメージを受ける可能性がある
- アフターサービスが整っていないことが多い
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集音器の最大のメリットは価格の安さと購入ハードルの低さです。難聴者向けではありませんが、販売価格が全体的に低いため、自分の好みに合わせて機器を選びやすくなります。また、購入にあたって専門的な診断や細かい調整は必要なく、通販や家電量販店で気軽に購入できるのも魅力のひとつです。
ただし、一般的に機能性が低く、雑音の影響を受けやすかったりピーピー音(ハウリング)が発生しやすかったりします。また、集音器は「難聴の改善」を目的として作られておらず、製造販売に関する規定が設けられていないため、一定の効果や安全性が保証されていないことやアフターサービスが整っていないことなどもデメリットとして挙げられます。
4. 補聴器と集音器はどちらがおすすめ?選び方のポイント
上記のように補聴器と集音器はそれぞれにメリット・デメリットがあり、どちらの製品が適しているかは聞こえの状況によります。
補聴器と集音器のどちらを購入すべきか悩んでいる方は、自分の症状や使用目的に合わせて選ぶことがポイントです。
補聴器がおすすめな人、集音器がおすすめな人の特徴をそれぞれ解説します。
4.1 補聴器がおすすめな人の特徴
補聴器は以下のような方におすすめです。
- 軽度~重度の難聴の方
- 耳鼻科の医師に使用を勧められた方
一般的に補聴器の使用対象は、聴力検査によって難聴レベルが軽度から重度であると診断された方です。
難聴の症状が進み、日常生活に支障をきたしている方は補聴器が推奨されます。
なお、難聴の種類によっては、治療で改善することもあるため、補聴器では対処できない場合もあります。
4.2 集音器がおすすめな人の特徴
集音器は以下のような方におすすめです。
- 日常生活の音をより大きく聞きたいと感じる場面が増えた方
電話やインターホン、車などの大きな音が聞こえない場合は日常生活に危険が及ぶ可能性が高いため、耳鼻科医の受診や補聴器の使用をおすすめします。
聞こえで悩んだら耳鼻咽喉科で受診しましょう。
補聴器と集音器のどちらを購入するか自分で判断できない場合は、耳鼻科医師や補聴器の専門家からアドバイスを受けることを推奨します。
ここでいう補聴器の専門家とは、補聴器相談医や認定補聴器技能者のことです。専門的な知識のもと、聴力検査の実施や補聴器購入に関する適正なアドバイスをしてくれます。
補聴器相談医は耳鼻咽喉科医院や病院、認定補聴器技能者は認定補聴器専門店や補聴器店に主に在籍しています。判断に悩んだ方は、これらの場所で専門家にみてもらいましょう。
なお、認定補聴器専門店とは、補聴器の調整・選定において公益財団法人テクノエイド協会の定める一定の基準を満たしている店舗のことです。
その人の聞こえ方に合わせて音を調整すること(フィッティング)に関する専門性や技術力の高さが証明されているため、補聴器の購入を決めた方は認定補聴器専門店を訪問することをおすすめします。
5. まとめ
今回は、補聴器と集音器の違いについて解説しました。
補聴器と集音器には主に以下のような違いがあり、自分の症状や使用目的に合った製品を選ぶことが大切です。
| 補聴器と集音器の特徴の違い |
- 厚生労働省による認可の有無
- 聞こえの調節方法
- 主な販売方法
- 価格相場
- アフターケアの有無
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どちらを購入するか迷った場合は、耳鼻科や認定補聴器専門店を訪問し、専門家による適正な診断とアドバイスを受けましょう。