補聴器相談医のイメージ写真

補聴器相談医とは?
役割や受診するメリットなどを解説

補聴器相談医とは、患者さんにとって補聴器は本当に必要なのか、どの補聴器が適切なのかなどを診断してくれる耳鼻咽喉科の医師(以下、耳鼻科・耳鼻科医と記載)です。

補聴器相談医を受診することで、連携している認定補聴器専門店を紹介してもらえたり、補聴器購入における医療費控除の申請について詳しく説明してもらえたりするメリットがあります。

1. 補聴器相談医とは?

補聴器相談医とは、補聴器に関する専門的な知識をもつ耳鼻科医のことです。補聴器を必要とする患者さんに対して、補聴器を適切に使用できるよう、より詳細で専門的なサポートをおこないます。

補聴器相談医は、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定の耳鼻咽喉科専門医のうち、同学会によって決められた講習と実習を修了した医師が認定されます。

補聴器相談医の勤める耳鼻科クリニックや病院については、下記の補聴器相談医の名簿一覧表から確認が可能です。

1.1. 補聴器相談医の主な役割

補聴器相談医は診察と聴力検査をおこない、患者さんの聴覚障害の状況や生活環境などを考慮したうえで、適切な補聴器の選び方や使用方法を指導します。

ただし、診断の結果、治療で回復を目指せると判断した患者さんに対しては、補聴器を勧めずに治療を施す場合があります。

補聴器が必要であると診断した患者さんに対しては、一人ひとりの患者さんに合った補聴器選びや補聴器の調整ができるよう、補聴器販売店と連携しながらサポートします。

患者さんが補聴器を購入した後も、経過観察をおこなって定期的に聴力の状態をチェックしたり、適切に使用できるよう指導したりします。

1.2. 補聴器相談医と耳鼻科医の違い

補聴器相談医も耳鼻科医ですが、一般的な耳鼻科医と比べて、補聴器に関する知識量が異なります。

補聴器相談医は、耳鼻科医のなかでも、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会から認定を受けた医師だけが名乗ることができます。認定を受けるためには、補聴器に関する専門的な講習と実習を修了する必要があるため、補聴器相談医は、耳鼻科医の中でも補聴器についてより専門的な知識があると言えます。

2. 補聴器相談医を受診するべきタイミング

補聴器相談医を受診するべきタイミングは、日常生活において聞こえが不自由に感じた時です。具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

  • 日常会話やテレビの音を聞き取りにくいことが増えた
  • 耳鳴りが続いている
  • 家族や周囲の人から聴力の低下を指摘された
  • 聞こえの不自由によって日常生活に支障が出始めた
  • 突発的に片耳または両耳の聴力が低下した

突発的に聴力が低下した場合は、突発性難聴の可能性が高いため速やかに近くの耳鼻咽喉科を受診しましょう。

また、難聴は遺伝する可能性があるため、上記のような症状があり、ご家族に難聴の方がいる場合も医師の診断を推奨します。

3. 補聴器相談医を受診する4つのメリット

補聴器を装着するイメージ

補聴器相談医を受診することには、主に以下4つのメリットがあります。

  • 難聴や補聴器の必要性について適正な聴力検査・診断を受けられる
  • 提携の補聴器販売店を紹介してもらえる
  • 医療費控除や補助金給付の対象になる場合がある
  • 経過観察や継続的なサポートを受け、補聴器を最大限活用できる

下記ではそれぞれのメリットについて解説します。

3.1. 適正な聴力検査に基づく診断を受けられる

補聴器相談医による聴力検査では、学校や会社などの健康診断でおこなわれる「選別聴力検査」とは異なり、専用の設備のもと詳細に検査する「標準純音聴力検査」が受けられます。

選別聴力検査は日常生活に支障がないかを確認する程度ですが、標準純音聴力検査では気導と骨導の両方を調べ、聴力レベルや異常のある部位を判断することが可能です。(標準純音聴力検査は補聴器相談医でなくても耳鼻咽喉科であれば受けられます。)

さらに、語音聴力検査によって日常会話で使われる語音を聞き取れているかを細かく調べ、実際の言葉の理解度を測定することができます。

これらの検査を受けたのち、補聴器が有効かどうかを専門家の知見で判断を得られるのが補聴器相談医のメリットです。

3.2. 提携の補聴器販売店を紹介してもらえる

補聴器相談医は、補聴器装用が適当であると診断した患者さんに対し、"補聴器適合に関する診療情報提供書"を発行します。

これは認定補聴器技能者への紹介状のようなもので、連携する認定補聴器専門店を補聴器相談医から直接紹介してもらうことができます。これにより、設備の整った信頼できる販売店で、専門知識を持つ認定補聴器技能者による適切な測定や調整を受けやすくなります。

3.3. 医療費控除や補助金給付の対象になる場合がある

補聴器相談医によって発行される"補聴器適合に関する診療情報提供書"は、補聴器の購入に関して医療費控除を申請する際に必要です。

そのため、医療費控除の申請を検討している方は、まず補聴器相談医を受診しましょう。補聴器購入後に補聴器相談医を受診した場合、控除対象にならないため注意が必要です。

補聴器の購入における保険適用の有無や補助金・助成制度などについては、下記記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

3.4. 経過観察やサポートを受けられる

補聴器相談医は、患者さんが補聴器を購入したあとも、補聴器を適切に使用できるよう経過観察や指導をおこないます。

補聴器を正しく使用するには、原則、難聴の程度や生活環境の変化に合わせて細かな調節をおこなう必要がありますが、かかりつけの補聴器相談医がいる場合は定期的に診察や検査をしてくれるため、そのときの耳の状態に合わせて補聴器を調節することが可能です。

補聴器相談医を受診しない場合、自分に合った補聴器を選びにくくなる可能性があります。最適な補聴器を選ぶためには、補聴器技能者による測定と調整が欠かせませんが、自己判断で販売店を選ぶと、十分なサポートが得られないことがあります。

また、購入後の適切なフィッティングや調整を受けられないことも考えられます。もし調整が不適切だと、補聴器の効果を十分に引き出せず、使用を諦めてしまうことにもつながりかねません。

このように、補聴器相談医による継続的なサポートは、補聴器を長く快適に使い続け、その効果を最大限に得るために重要です。

4. 補聴器相談医の受診後の流れ

補聴器相談医を受診し、補聴器の装用を勧められた際には、相談医に紹介された補聴器販売店を訪問します。

補聴器販売店では、補聴器のスペシャリスト"認定補聴器技能者"によるカウンセリングや聴力測定、補聴器の調整などをおこない、ご自身に最適な補聴器を選定します。

選定・試聴後、納得のいく補聴器を見つけたら購入となります。購入後も定期的なメンテナンスを受けることが可能です。

補聴器販売店における購入までの流れについて、詳細に知りたい方は以下の参考にしてください。

スマホを見る女性

5. 補聴器相談医についてよくある質問

補聴器相談医に関して、よくある3つの質問について回答したので参考にしてください。

5.1. 補聴器を購入してから補聴器相談医にかかっても意味ない?

医療費控除を受けたい場合でも、補聴器の購入後では、補聴器相談医にかかったとしても控除対象外になります。

補聴器購入における医療費控除を申請する場合は、補聴器相談医に"補聴器適合に関する診療情報提供書"を発行してもらってから補聴器を購入する必要があります。

ただし、控除対象とならなくても、購入後に相談医を受診することで、使用している補聴器について適切なフォローをしてもらえるため、受診するメリットはあると言えます。

5.2. かかりつけの耳鼻科医が補聴器相談医じゃない場合はどうする?

かかりつけの耳鼻科医に補聴器装用の意思を伝え、補聴器相談医を紹介してもらいましょう。

紹介してもらえなかった場合は、下記からお近くの補聴器相談医を探して受診してみてください。

5.3. 補聴器適合判定医師との違いは?

補聴器相談医は、患者さんの診察や聴力検査を通じて難聴の程度を詳しく調べ、補聴器が必要かどうかを判断する役割を担います。

一方、補聴器適合判定の医師は特定の資格ではなく、「補聴器適合判定の医師研修会を修了した医師」のことを指します。この医師が行う補聴器適合判定とは、補聴器を装用した患者さんに対し、特定の施設基準を満たした耳鼻咽喉科で行われる検査に基づいて、補聴器装用後の効果や調整状態を確認し、患者さんが補聴器を適切に使えているかを評価することを指します。

つまり、補聴器相談医は「導入前の判断と導入後の管理指導」を行うことができ、補聴器適合判定の研修会を修了した医師は「装用効果の測定と評価」を行うことができるという点で役割が異なります。

6. まとめ

今回は、補聴器相談医についてまとめました。

補聴器相談医は、補聴器に関してより詳細で専門的な知識のある耳鼻科医のことです。適正な聴力検査や診察のもと補聴器の必要性を判断し、補聴器の適正な選定・購入や使用をサポートしてくれます。

補聴器は、自分の難聴の種類・程度や生活環境に合ったものを使用しなければ、効果を発揮することが難しいです。

聴力の低下を感じている方や補聴器の購入を検討している方は、一度補聴器相談医を受診してみましょう。